2026年7月9日の朝、私はSurf-OKのアクセスが伸びていることを気にしていた。
前日のアルバイトで疲れ、睡眠は4時間半。それでも朝5時21分には、こんなことを書いている。
「最近Surf-OKのアクセスが増えていて、将来性が高まってきました。プロジェクトの優先順位を変えた方がいいかなと感じ始めています」
この時点では、Surf-OKへ戻ると決めていたわけではない。むしろ、その日の途中までは、別のプロジェクトを優先する考えも残っていた。
朝は、アクセスの伸びを見ていた

Surf-OKは、自分がサーフィンへ行くかどうかを判断するために作り始めた波予報サービスだ。
朝の私は、湘南・西湘だけでなく、伊豆や千葉のサーフポイントも追加すれば、さらにアクセスが伸びるのではないかと考えていた。その先には、月額課金も見えるかもしれない。
いま振り返ると、少し先を急いでいる。アクセスが増えたことと、利用者がお金を払うことの間には、まだ大きな距離があった。
それでも、伸びていたこと自体は想像ではなかった。直近90日間の検索クリックは、前の90日間と比べて約4.6倍。表示回数は約3.6倍になっていた。
最初は自分一人のために作ったものが、誰かに見つけられ始めていた。
Surf-OKが自己分析から生まれ、自分自身のための道具として始まった経緯は、以前の記事に残している。
夜、KIPPOへの違和感が言葉になった

一方で、当時はKIPPOという別のプロジェクトも進めていた。
九星気学や方位鑑定に関わる業務支援サービスで、鑑定士向けのツールやWeb制作として高単価化できる可能性があった。
最初の仮説は、私自身が占うのではなく、道具を提供する側なら成立するのではないか、というものだった。
ところが、引越方位鑑定の実務を具体的に考えるほど、違和感が大きくなった。
凶方位を避けるために仮住まいを提案する。難しい場合は、悪い影響を弱めるための行動を勧める。利用者の不安が、次の相談や支出へつながっていく構造が見えた。
その夜、私はかなり強い言葉で書いている。
「ヤクザな商売ですよ。占いなんて」
占いに関わる人を一括して否定したかったわけではない。言葉によって気持ちが整理されることもあると思う。ただ、自分が信じきれていないものを、人の不安に近い場所で広げる側へ回ることには耐えられなかった。
現実的な事情も添えて説明すればよい、とも考えた。しかし、それでは鑑定として結論が曖昧になる。
「顧客だったら、じゃあどうすればいいの? 結局引越してOKなの? NGなの? 鑑定した意味がなくない?」
仕組みを誠実にしようとするほど、そもそも自分は何を売ろうとしているのか分からなくなっていった。
止める理由と、戻る理由が同時にあった

同じ日の朝には、Surf-OKのアクセスが伸びていた。夜には、KIPPOへの違和感が言葉になった。
片方だけなら、まだ決められなかったかもしれない。
KIPPOに違和感があっても、ほかに育てるものがなければ、「もう少し形を変えて試そう」と考え続けただろう。Surf-OKの数字だけを見ても、「アクセスはあるが、単価の高いKIPPOを先に進めよう」と判断できた。
実際、その日の途中までは、KIPPOを1位、Surf-OKを2位とする案も出ていた。
しかし最後に残った判断基準は、収益性だけではなかった。
「基本的にCash化までが早いもの、確定度が高いもの、幸福度がアップするもの、自分の思想と合っているものを優先する」
Surf-OKは、自分自身が利用者だった。海へ行き、予報と現実のズレを確かめる。その経験が、そのまま次の改善につながる。
収益化の相談から、自分が本当に作りたいものへ変わっていった過程については、こちらの記事で詳しく振り返っている。
KIPPOは削除せず、凍結した

KIPPOを閉じた、といっても、すべてを削除したわけではない。
翌日の午前2時24分、私はKIPPOを主力から外し、新規開発・営業・モニター募集を停止すると決めた。仕様書や調査結果は、再開条件を付けた資産として残した。
失敗として消すのではなく、これ以上は進めないと決めた。
その少しあと、午前4時28分にはこう書いている。
「KIPPOを凍結したので、Surf-OKを進めるための戦略を練るつもりです」
この一文には、力んだ決意があまりない。ただ、空いた場所にSurf-OKが戻ってきている。
優先順位が、紙の上の並び順ではなく、迷ったときに戻る場所へ変わった瞬間だったのだと思う。
戻ったあとも、まっすぐではなかった

もちろん、Surf-OKを選んだからといって、その後すべてがうまく進んだわけではない。
毎日の波予報をWordPressへ投稿し続け、日付の付いた記事ばかり増やしてしまった。サーフポイントの拡張を考えたものの、全国へ広げる前に湘南へ戻ることにもなった。
その回り道は、こちらの記事に残している。
KIPPOを凍結した判断が正しかったと、収益だけで証明できたわけでもない。Surf-OKが生活を支えるサービスになるかは、まだ途中にある。
それでも、どこへ戻るかは分かるようになった。
自分自身が使っているか。広がってほしいと思えるか。作業を続けるほど、自分の生活にも何かが返ってくるか。
優先順位は、一度決めたら動かさない順位表ではなかった。寄り道をしても、迷っても、また考え直すために戻れる場所だった。
Surf-OKが生まれてから現在までの試行錯誤は、開発者ブログにまとめている。




コメント